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あきら 最後の話題に移りたいんだけど、戸村くんはシリコンバレー関連のイベントに登壇したら毎回「ぼくは日本の教育を変えたい」って言ってるけど、そう思うきっかけはあったりするの?
日本の教育を変えたい!
戸村くんの少年時代
戸村 僕は子供の頃、親の教育方針でずっと勉強してただけだったんですよ。もう本当に勉強漬けで友達が公園で遊んでても塾とか行ってたんですよ。4歳の頃なんですけど、当時は友達みんながポケモンのゲームを遊んで、ポケモンのアニメを見て盛り上がってるのに、僕だけずっと勉強してたので、ある日「僕がポケモンを遊べない今の教育はおかしい」って違和感を感じるようになったんですよ。そのまま小中高とずっとお受験ばっかりだったんですけど、その違和感はずっと持っていて、本当に東大京大のためにずっと勉強しろって環境にずっと置かれていて、完全に受身な姿勢でしか勉強ができなくなっていったんです。今でも学生が受身になって強制される教育って正しくないなって強く思っています。実際、僕はコンピュターサイエンスを専攻している学生よりプログラミングが書けたりします。僕は別にコンピュータサイエンスの専攻じゃないけど、ただサービスを作るのに必要だったので自分から能動的に学んでいったんですよ。だから絶対受動より能動を促すような教育の方が絶対楽しいし、身につくと思うんです。そういう教育になるように僕が貢献できることをやり続けていきたいです。
あきら 日本とアメリカで教育の違いは実際に両方受けてみてどう感じる?
戸村 これは色んなところでも言われていることですが、日本の教育は日本の大企業でちゃんと与えられた役割をこなせるように、言われたことをちゃんという通りに出来るようにするための教育なんだなって感じます。それに比べてアメリカは、絶えず市場は変化するから、どう自分たちで新しい市場を創るか、そしてその市場でどう人をまとめるかっていうリーダーシップ教育に力を入れていると思います。ただテストで点を取れば良いんじゃなくて、授業中に自分からどんどん意見して議論の場に参加しないと全然評価されないです。これも能動的な教育のひとつだと思います。
あきら じゃあ受動的な教育から能動的な教育にしていくのが戸村くんのやりたいことなんだね。
戸村 そうです。学生一人ひとりが自分で考えてアクションをしていけるような教育になればって思います。
あきら そうは言っても日本の教育も良いところはあるんじゃないかな。平均的な基礎学力が高いとか。
戸村 確かにそれはあると思います。友達のロシア人がシベリア出兵を知らなくてびっくりしました。たしかに知識量は他の国と比べても比較的多いと思うんですが、それは詰め込まれて得たものなので、それを使って社会にアクションを起こすかって応用を考える人は少ないと思います。それじゃあダメだと僕は思っています。
あきら じゃあ戸村くんは日本の教育をアメリカのようにしたいの?
戸村 そういうわけじゃなくて、アメリカの教育も悪い面があるので、良い面だけを上手に取り込みたいです。ただ日本の教育は受動的すぎるから、そこはアメリカの能動的な教育を少し見習いましょうってことですかね。
日本の教育を変えるために、起業家の聖地シリコンバレーに身を置く
あきら 戸村くんの面白いところって、日本の教育を変えるってビジョンを持っているのに、日本ではなくシリコンバレーという「起業の聖地」でアクションを起こしているところだと思うんだけど、それについてはどう思うの?
戸村 僕にとっての起業の定義とは、ビジネスを通して、現在の市場をディスラプトし、社会を変え、より豊かにすることです。僕は教育を変えたいので、その手段として今のサービスを提供しています。僕がシリコンバレーで挑戦する理由は、起業を通して社会を変えていく環境が整っているからです。
あきら たしかに、日本で「教育を変えたい」ってなったら教職か政治家になるってなりがちだよね。
戸村 そうだと思います。日本はまだまだ起業をし、自分のサービスを通して世界や社会を変えてやろうって意識が浸透していないと思うんですよ。
あきら それはそうかもしれないね。あと、そういえば戸村くんと以前話した時に「どうしてそんなに沢山の経営者に会えるの?」って訊ねたら、「起業家として会わないのが大事ですよ」って言ったじゃない?あれってすごく良い言葉だったのを覚えてて、詳しく教えてくれる?
戸村 それは、起業家として会ったらどうしても「起業の先輩」として話をされたり、僕も「後輩」として聞かなきゃいけない。だから、「教育を変えたい人」ってスタンスで会おうとしたら結構スムーズに会えるし話せるって、これは実際にやってみて学んだことなんですけど。
あきら そういうところは本当に戸村くんはうまいと思う。どんな立場で人に会うかってすごく大事。経営者に「経営者」として会いに行くとライバルだったり、警戒されたり、先輩・後輩の関係になったり。でも「教育者」として会いにいけば、相手もスッとリラックスして全部話してくれたりするよね。ただ理想を語るだけじゃなくて、そのビジョンさえも今の戸村くんが成長するための戦略として使っている上手さを感じるよ。
戸村 いやー、おかげさまでたくさん吸収させてもらってます(笑)。
あきら こちらこそ勉強させてもらってるよ(笑)。沖縄で学生たちと接する機会があってね、彼らは「沖縄を良くしたい」って語るんだ。沖縄でそのビジョンを語ったら、沖縄の経営者に立場的に後輩にされるし、同時に年上にライバル心も植えつけちゃう。それって短期的に見れば後輩としてかわいがってもらえるけど、長期的に見れば対等な立場で情報を引き出せたり、仕事をしたりは絶対にできない。その結果は、情報が全て同じ立場からの情報、つまり主観的になっちゃって客観的に今の自分のビジネスの本質が分かんなくなっちゃう。行き着く果ては、どこかで似たようなサービスやプロダクトしか出てこない。戸村くんのように理想さえも戦略として使うっていうしたたかさがないといけないよね。
戸村 そこまで見られてると僕が話さなくても、僕のインタビュー記事できるんじゃないんですか?(笑)
教育を変えるために、政治の仕組みを変える!
あきら いやいやそんなことないよ。ところで最近facebookで政治家になるって書いていたけどあれは何なの?
戸村 今やっている事業はシリコンバレーっていうローカルに照準を合わせているから、世界に影響を与えることは出来ないなと思っていたんですが、この前日本に帰ってきた時に登壇したイベントでDeNAの南場さんに「あなた愛国心はあるの?」って訊かれて、たしかに自分が日本人として何か出来ることは何なんだろうって考えてた矢先に、僕の誕生日、2015年の5月17日に橋下徹市長が選挙で負けて大阪都構想を断念するって情報が飛び込んできたんですよ。そのとき、なぜかめっちゃ悔しくて、なんで負けたのかを調べたら多く若者が選挙に行かないせいで、大きな政党に支援されてる候補者に組織票が入って負けるっていうことが分かったんですよ。教育を変えるには政治の力も必要だと考えているので、教育を変える過程で若者にちゃんと政治のことを学んでもらって、選挙に参加するって意識改革ができればいいなって思ったんです。今、選挙の投票に関わるサービスを開発していて、11月の大阪市長知事選挙と来年はアメリカの大統領知事選挙があるので、それに向けて頑張っているところです。
あきら なるほど、そういう経緯があって政治なんだね。しかもまた新しいサービスを開発してるんだ。今後戸村くんがどうなるか目が離せないね。
中村あきら×戸村光対談 終わり
(撮影・構成 湯ノ口直樹)
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世界を変えたい!GoogleやFacebookのようなサービスを作りたいけど、何からやればいいのか分からない。
そんな学生さんがいたら戸村くんに連絡をしてシリコンバレーに行ってみよう!
シリコンバレーの色んな人種が交わる仕事現場がたくさんある。
日本では得られない体験がきっとできるはずだ。
まずはそこで揉まれて世界に展開するサービスをつくるとはどういうことなのか?
それを実感しよう!
この対談を読んで、将来世界を変える起業家が生まれるきっかけになったらいいね~!
いい対談だった!ありがとう戸村くん!