シリコンバレーのベンチャー企業をはじめとして米国ではインセンティブストックオプションを付与している企業は多く、日本でもベンチャー企業を中心に増えている。
ここで気になるのはストックオプションに対する課税の問題である
ISOsとNSOs
米国ではストックオプションは法律的にインセンティブ報酬として用いられるために税務上特別の取扱いが認められている適格オプション(Incentive Stock Options, 「ISOs」)と特別な取扱いが認められていない非適格オプション(Nonstatutory Stock Options, 「NSOs」)のふたつに大きく分けることができる。
このうち適格ストックオプションはオプションを与えられた時にも行使した時にも税金が発生せず、株式を売却して現金を得た時に初めて税金がかかりキャピタルゲインの扱いなので税率は現状15%と低く非常に特殊である。
適格ストックオプションが与えられるには期間や価格取り扱いなどの制限条件があるため、適格ストックオプションであると認められることは難しいとされている。
適格ストックオプションとしての適格条件がひとつでも認められなければ非適格ストックオプションと呼ばれる。
非適格ストックオプションの税金の取り扱い
非適格ストックオプションの場合、権利を行使した際には給与所得と同じように通常の収入として申告を行うことになり、単純にキャピタルゲインのような扱いにはならない。
非適格ストックオプションで得た収入は通常の給与所得と合算しての申告となるため高い率の税金を支払うことになる。
株が安いうちにストックオプションを行使して株に換えて保有しておき、時機が来た時に売却して差益をキャピタルゲインにすることで税制上有利にすることで税率を低く抑えることもできるが、株の値下がりによる損失のリスクもある。
ベンチャー企業や上場企業はシリーズAラウンド以降の段階での投資獲得において必須ともいえる業績を向上させ、株価を高めなければならない。IPOを目指すベンチャー経営者や株式市場に株を公開した経営者にとって、株主の目的と経営の目標を両立させることや役員や社員のモチベーションを維持することなどの社内政策としてストックオプションを活用することが多い。
非適格ストックオプションは適格ストックオプションのように厳格な条件がないため、会社が条件を付けることができる。
二つのストックオプションは扱いに大きな差があるため、取り扱うときにはしっかりとした知識を持っておくことが必要である。