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あきら サンフランシスコで起業するっていうところについて、ちょっと詳しく聞いていけたらなと思います。ハルトMBA在学中に、サンフランシスコでアメリカの会社として登記したという感じですか?
けんじ はい。
サンフランシスコはオフィス税がかかる!
カリフォルニア州・サンフランシスコ
あきら 登記はどの場所ですか?カリフォルニア州ですか?
けんじ いや、ちゃっとここはツテのこともあって、今現在はよくある非課税地帯(タックスヘブン)のデラウェア州に置いてあるんですけれども、1番初めはボストン、ニューハムシャーでやりました。
※タックスヘブンのデラウェア州での登記についてはこちらを参考に。
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あきら オフィスはサンフランシスコですよね。オフィスを一度訪問させてもらいましたが、サンフランシスコで実際にサービスをローンチ(発表)して、大きくしていくっていうのは、どんな感じなんでしょうか。オフィス料金も高いじゃないですか。
けんじ 高いですね。
あきら ぼくも知ってるんですが、サンフランシスコは東京2~3倍の賃料でした。最初は出資を受けましたか?
けんじ 自分と、家族や親族からお金を出して始めました。サンフランシスコの賃料は元々高いんですけど、それに加えて、サンフランシスコにオフィスを置いてから気付いたんですけれども、余計な税金も払わなきゃいけないんですよ。
あきら そうなんですか。
けんじ サンフランシスコ独自の法律がありまして。
あきら オフィス税みたいな。サンフランシスコで飲食店を経営している方にも聞いたことがあります。冷蔵庫置き場や駐車場スペースにも税金がかかると。
けんじ プラスアルファで払うんですよ。そういうこともあって、「これは高くつくな」とも思ったんです。ただ、メリットもあります。手続上とは言え、取り合えず、日本よりも早く登記出来ますし、どんな会社形態もすぐ作れてしまうんですよ。非居住者でも作れますから。そういった意味では、アメリカのほうが日本より会社設立そのものに対しては、すごい柔軟に、すぐ出来るっていう状態だと思います。
アメリカ人以外を雇うと給料が5割増し
パシャデリック・サンフランシスコのチーム
あきら 社員も雇われてますね。何人ぐらいのチームでしたっけ?
けんじ 正社員が3人。アルバイト雇用形態でそれぞれ3人。あとインターンシップを採用してます。
あきら それはハルトからの繋がりで雇ったんですか?
けんじ ハルトからの繋がりでしたね。ハルトと、ハルトがやっている英語の語学学校の生徒さんも来てました。
あきら なるほど。MBAの人脈は、そういうアルバイトやインターン生の採用にも活かせるんですね。それで、実際に雇用してみてどうでした?例えば、カリフォルニアは雇用法とかも違うじゃないですか。
けんじ 1番の問題は先程お話した、ビザ関係ですね。やっぱり、アメリカ人を雇ったほうがいいです。そもそも、アメリカの市民権じゃない方を雇うとなると、アメリカ政府からすると、「アメリカ国民がいるのに、わざわざなんで外国の人を雇うんだ」っていうふうになるので、国としてデメリットが生じるんですね。だから法律上、外国籍の人を就労ビザを獲得してまで働かせたいってなると、その人の給料が、大体通常のアメリカ国民の5割増しなんですね。
サンフランシスコメンバー
あきら 5割増し・・。
けんじ アメリカ人労働者を守るためですから。まずそこが大変でした。しかも、そうなってくると、今度は更に就業時間もネックになってくるんですよ。なにせ、スタートアップですからね、「週100時間頑張ろうぜ」とか、そういう話が出てくるんです。その情熱自体はありがたいんですが、そんなに働いても給料が出せなかったりするので、「これだけ働いてるんだから給料増やせ」とか、「ちゃんと5割増しの給料を出せ」とかって主張し始められたりして、色々とややこしいことになります。だから、それを全部ひっくるめた経験から言えることは、アメリカ人と仲良くなって、そのアメリカ人をパートナーにするってことですね。多分すごく楽になるはずです。
あきら サンフランシスコで人を雇う場合、アメリカ人の共同経営者を探すことが大事なんですね。例えば、社員と雇い主の関係で、カルチャーショックみたいなのは、あったりしましたか?
英語は主語が明確な分、決断力があがりやすい!
サンフランシスコメンバー
けんじ 多分、日本人が1番ショック受けるのは、上下関係ですかね。日本は敬語があって、必然的に上下関係を明確にするんですけれども、向こうはどちらかというと、フラットに話します。丁寧な言い方はあるんですけど、基本的に敬語がありません。例えば、私は色んな意見が聴けて良いと思うんですが、インターンで入ってきた22歳の子が、社長の私にダメ出しをしてきます(笑)。フラットな関係は、立場に縛られない様々なベネフィットを産みますが、一方で、あまりにもフラットすぎると、経営者として、会社のかじ取りが大変だと思ってます。立場を利用できないので、社長がもう直感的に「いや、これは違う」と思ったり、「この機能を外して、こうしよう」って言っても、そこをちゃんと論理的に説明しないと、組織として従ってくれません。
あきら なるほど。日本人と仕事をするよりも、説明する時間が多くなってくると。
けんじ そうですね。もしくは、理解してくれなかったら付いて来ないっていうことですね。
あきら もう、良く分かんないから辞めるみたいな。
けんじ そうですね、辞めるとかあります。「俺反対です、やらない」とか、そういうふうに言いますね。
あきら それはハルトのフランス人みたいな感じで(笑)。
けんじ そうですね。ちょっとそれはありますね。
あきら 例えば、国や言葉が変わると経営者としての考え方は変わるのか?というものを聞いていきたいのですが、英語と日本語で経営者としての哲学は変わってきますか?
けんじ それ面白い質問ですね。たしかに言語で、態度がすごく変わると思います。英語でストレートにがんがん言われてもあまり腹が立ちませんね。おそらくインターンの子が日本語で、タメ口だったら多少、腹が立っていたと思います。それに、ストレートに物事を言うんで、決断するときに、曖昧さがほとんどなくなります。
あきら なるほど、経営者としての決断が変わってくるということですか。
けんじ そうですね。例えば、日本語だと、ミーティングをしたけれども、「じゃあ結論は何?」「結局は誰がやるの?」っていうことがよく起こると思うんですね。多分、英語の場合は、ほぼ全てにおいて明確な結論が出ます。英語は、「誰が」、「何を」するかっていう文章形式で喋っていくのでので、不明瞭な決定がないんです。
あきら 絶対、主語が明確ですもんね、英語はね。
けんじ そうです。それで、何をするっていうのも明確になるので、必然的に、いろんな決定を、その瞬間に下すことができます。
あきら へえ、面白いですね。経営者にとって英語でそういう経営をしていくってことは、決断力が一番変わっていくと。
けんじ 変わってきますね。
あきら なるほど、なるほど。サンフランシスコは起業する場所としてどうですか?インキュベーションシティとしてやってきた結果、最適だと思いますか?
けんじ そうですね。日本よりいいと思います。日本でも一緒に友人とかと会社やっているんですけれども、多分アメリカの方がスピードが速いと思いますね。
あきら それはどういう点で?
けんじ イエス、ノーっていうのが速いんで、遠回りしなくていいっていうか。駄目だったら、じゃあ、次、次、次っていう感じでどんどん行ける。それと、そもそも向こうは、スタートアップをそれなりに応援する文化があるがあるので、やりやすいです。
サンフランシスコオフィスで働く様子
あきら やっぱり違いますか?日本とは。
けんじ スタートアップをやってるって言うと「良かったね」って言われます。真っ先に「good for you!」って。
あきら それって例えば、5、60代の人が同じ大学の後輩と会ったみたいな感じですか?
けんじ あ、そんな感じですね。
あきら わかりました。最後に、サンフランシスコで起業する人に向けて、ここが大事だ、みたいものはありますか。
アイディアではなく、プロダクト(商品)で人を巻き込め!
けんじ 1番いいのは、自分が何をやりたいのかっていうのが、明確になっていれば、それに合うような現地の人とどんどん会っていくっていうことですね。多分ほぼ間違いなく、誰かは見つかると思います。あとは、馬鹿になってくださいってことですね。今までのことは一旦捨てて、現地に最大限溶け込む。
あきら プライドを捨てるみたいな感じですかね。
けんじ いえ、恐れを捨てるという感じですかね。ただでさえ、日本でもスタートアップをやろうと思ったら、いろんなリスクがあるのに、更に海外でそれをやるのはとても勇気が必要です。でも必ずそこには、いいことが絶対待ってると思います。日本で始めるよりも多分確率は上がるような気はする。私の勝手な想いですが、とても実感していることなので。あとは、とにかく形にするってことですね。日本はとにかくクオリティにこだわって初期動作遅いですが、何も発表していないと、こっちでは何もないのと一緒ですから。
ローンチ(発表)したばかりのパシャデリック
あきら 作りこむ前にまず、発表ですか。
けんじ そうです。実際、他の大学のマーケティングの教授さんに、うちのサービスの話をした時に、まず訊かれたのが「もうそのサービスはスタートしてるのか」だったんです。他にお会いしたほとんどの教授さんもそれだったんです。というのも、やっぱりみなさん考えただけでやらないって言う人が多いんですね。まずやってるっていうこと事実自体がが、手伝うか手伝わないかの判断に大きく関わってくるということですね。
あきら つまり、机上の空論、形になってないものに対しては、みんな何も出来ないっていうことですね。
けんじ もちろん、そうですね。ビジネスモデル的にもアイデアが素晴らしいって言うと集まってきますけど。でも平均的な話にいくとやっぱり、取り合えず何か動いているものがないと、そもそも、こいつ本気なのかどうかっていうのが、多分見えて来ないんでしょうね。
あきら それは日本だとカリスマや人に対して集まってくる感覚あるけれども、サンフランシスコ・シリコンバレーは人よりもプロダクト(商品)に人が集まってくる。だからまず形にしてプロダクトありきで人に話していく。それがすごく大事ってことですかね。
けんじ そうです。その通りだと思います。
あきら 了解です。今日は貴重なお話を、ありがとうございました。
けんじ こちらこそ、ありがとうございました。
中村あきら×山村健児対談 終わり
(構成 湯ノ口直樹)
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この山村さんの起業ストーリーからグローバル起業家、つまり国境がない起業家になるために道筋が見えたのではないだろうか。
まず海外MBA(もちろんおすすめはハルト)に通い、多人種と交流し、同じ学び仲間と起業チームを結成する。
自分がやりたい事業も授業や様々なビジネスを分析してきた教授たちにアドバイスしてもらうことができる。
何をやるか分からないけど、海外で起業したい、グローバルな起業家になりたい!
そんな想いがあるなら、ハルトやサンフランシスコに行ってみよう。
日本だけでは見えてこなかった、起業への道筋がきっと見えてくるはずだ。
いでよ、グローバル・アントレプレナー!!
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