ぼくは2013年、資金ショートを起こし、社員の大量解雇や裁判などといった会社の危機を経験した。そんな苦難の中でも手放さなかったジパング・ドットコムを先日売却し、会社の創業から売却までの会社の一生を経験した。
これらの経験は誰もが体験できるものではないだろう。今となってはその経験を活かし、相談者がどのフェーズにいても共感しながら的確なサポートができるようになった。
またぼく自身、ウェブサイト売買(M&A)は4〜5回やってきたことがあって、様々なケースのサイト売買を経験してきた。
今回はそんな実際の経験から、ウェブサイト売買(M&A)のスキームの一つであるサイト買収の手続きの流れ・そして必要なコストについて解説していく。
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そもそもウェブサイト買収とは?
会社同士を合併したり、会社が他の会社を買収したりするM&A(Mergers and Acquisitions)。買収の方法として会社を丸ごと買収するしか方法がないと思う人は多いかもしれないが、もう一つ、会社の一部のみを買収する方法がある。まずはウェブサイト売買(M&A)のスキームを見ていこう。
1.会社を丸ごと買収する方法
・株式買収
・株式引渡
・合併
・株式交換・株式移転
2.会社の一部を買収する方法
・事業譲渡買収
・会社分割
アプリやウェブサイトの一部を買収するのは事業買収に含まれる。
会社が抱える事業や資産の全てまたはその一部を買収する方法が事業買収だ。
中小企業のM&Aとしては株式譲渡買収の次に多く活用されている。このうち売買の対象がウェブサイトになるものについて一般的にはサイト売買と呼ばれている。
サイト売買はサイトM&Aという名でも知られているね。
サイト買収のメリットは投資・事業立ち上げの時間の短縮!
サイト買収はウェブサイトそのものや、ドメインだけでなく、既存顧客や取引先、運営のスキームまで引き継げるというメリットがある。
集客に必要なSEO対策などにかける時間が短縮できるだけでなく、既存のウェブサイトとの交互送客が見込めるので、買い手にとっては売り上げを伸ばす大きなチャンスになる。また、サイト構築の手間が省けるというメリットもある。
また、売り手にとっても、会員になってくれた顧客を悲しませなくて済むというのはもちろん、事業の整理ができ、それをすぐに現金化できるというメリットがある。
サイト買収におけるウェブサイトの取引額は、月間利益の数年分になることが多く、長期的に見ても売却するメリットは大きいだろう。
取引額が月間利益の数十倍の価格がつくことも珍しくない。
良い買い手、売り手を見つける方法はまず優秀なアドバイザーを見つけること!
クライアントとの打ち合わせでたまたま売りたいウェブサイト、買いたいウェブサイトが見つかればそれに越したことはない。
しかし、よっぽどタイミングが合わない限り、そんなラッキーな展開にはならない。また、表面上は非常に魅力的なウェブサイトに見えていたとしても、蓋を開けて見たら思いもよらなかった欠陥が見つかるかもしれない。
サイト買収は個人ですべて進めることが不可能というわけではないが、上記のようなリスクを考えるとM&Aアドバイザーを利用したほうが安心だね。
M&Aアドバイザーはその名の通り、M&Aについて相談できる専門家。買い手と売り手のマッチングはもちろん、そもそもウェブサイトの売却や買収ができるかについての検討や、条件交渉など、サイト買収を行ううえで発生するさまざまな業務を依頼することができる。
実際に取引が進んでいくと、弁護士や公認会計士など、ほかの専門家に依頼する業務もあるが、ウェブサイト買収の始まりから終わりまでを一貫してサポートしてくれるのはM&Aアドバイザーだ。
M&Aアドバイザーは、弁護士や公認会計士とともに連携を取りながら業務を進めてくれるので安心だ。
ウェブサイト買収手続きの必要な流れとそれぞれのフェーズに必要な専門家
M&Aアドバイザーにより、ある程度契約の合意が取れたら、実際に契約に関わる手続きを進めていくことになる。ここからはサイト買収に関わる手続きの流れを確認していこう。
サイト買収ではまず、はじめに売り手と買い手双方の経営陣で面談が行われ、経営方針や契約の条件面について意見交換を行う。大筋の条件が決まると意向表明書が交付され、これをもとに基本合意書を締結することになる。
そして、基本合意書締結後に買い手側からの調査を行い、最終的な契約締結に進んでいく。調査から手続き終了までのステップは以下の7段階。期間は短ければ1カ月、長いケースでは1年以上かかることもある。
1.財務調査(対応:公認会計士)
買い手側が依頼した公認会計士や会計事務所により行われる。
2.法務調査(対応:弁護士)
買い手側が依頼した弁護士や法律事務所により行われる。当該事業に関する法令遵守の状況や瑕疵の有無・程度のほか契約に含まれるリスクなど調査内容は多岐にわたる。
3.事業内容調査(対応:買収者本人&M&Aアドバイザー)
法務調査と合わせ、弁護士や法律事務所により行われる。必要に応じて公認会計士や会計事務所が関わるケースもある。
4.サイト価値算定(対応:公認会計士)
財務調査と合わせ、公認会計士や会計事務所により当該事業に関して妥当な買収価格の算定を行う。
5.契約書作成(対応:弁護士)
1~4までの調査結果は通常、書面で報告を受けることになる。買収の価格や実際に買収を実行するかどうかについては調査後に再検討し、問題ない場合は契約書の作成を行う。契約書の作成は弁護士や法律事務所に依頼できる。
6.相手方との交渉、スケジュールの調整など(対応:M&Aアドバイザー)
買い手側が作成した契約書の条件に基づき、売り手側との最終的なすり合わせを行う。基本的な契約の条件面のほか、取引実行までのスケジュール調整を行い、全ての条件が決定した段階で最終譲渡契約書を作成する。このフェーズはM&Aアドバイザーがやってくれる。
7.手続きの実行(対応:買収者本人)
最終譲渡契約書を締結してから決済日までの間にいくつかの準備が必要になる。買い手側の準備としては取締役会で承認を得る、譲渡資金の準備、必要書類の準備などが挙げられる。
ウェブサイト買収のコストの相場は買収額によって変わる
サイト買収を考えた場合、1番気になるのはコストについてだろう。サイト買収の手続きは究極をいえばすべて自分で実施することもできるため、そうするとコストは印紙代や用紙代、印刷代程度ということになる。しかし、この方法はコストを抑えられる一方でリスクは非常に高くなる。
サイト買収に関わる専門家は公認会計士と弁護士だが、上記の手続きを依頼した場合は最低でも弁護士と公認会計士それぞれ100万円はかかると見積もっておけばいい。依頼内容としては依頼するかしないかの二択だけではなく、調査は自分で行うが契約書の作成はお願いするなど、スポットで依頼することもできるため、リスク管理をしつつ、予算に合わせて色々なパターンを考えておくよいだろう。
ちなみにぼくは数百万円の買収であれば、契約書の作成のみを知り合いの弁護士に依頼する。数千万円規模の場合はM&A専門の公認会計士と弁護士に調査からしっかりコストをかけて取り組んでいく。
高品質サイト買収の査定&M&Aコンサルティング請け負います!
会社や事業を丸ごと買収するのではなく、ウェブサイト単体で買収するのがサイト買収だ。手続きは少々面倒だが、サイト買収にはさまざまなメリットがある。まあ、ただ単に何を買ってもメリットがあるというわけではないから、専門家に頼むにしても自分で行うにしてもしっかりと調査したうえで買収することが大切だ。
しかし一方で事業診断や査定サービスが充実していないというのも事実。これはぼく自身、事業を売却した時に強く感じたことだ。ウェブサイト売買(M&A)の仲介会社も数多くあるが、査定額に大きな開きがあるので、そこから精査するとなるとさらにタスクが増えてしまう。ぼくが立ち上げた査定サービスは経験に基づき安価かつスピーディーに正確な診断を行う。
またバイアウトに特化したコンサルティングも行っている。
もちろん、ウェブサイト売買(M&A)に強い公認会計士や会計事務所、弁護士や法律事務所をぼくからご紹介することもできるので、まずは気軽に相談してほしい。
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サイトの事業継承といえばシャイニング丸の内日報が記憶にあたらしいところ。あそこのこんな手続き踏んだのかな? / サイト売買の経営者が語る!サイト買収ステップと各専門家へのコストを公開! (…https://t.co/32hCFyNi9B #NewsPicks
— 三田村 (@freeman3mu) 2017年1月29日