【中編】「イタリアという環境がアーティストとしての感性を高めてくれる!」はこちら
【後編】「「金髪」「和服」「刀」そしてイタリア語での「深い話」が圧倒的な違いを生む!」はこちら
中村あきら(以下、あきら) 今日のインタビューは、ボイスアーティストの相川陽介さんです。あいちゃんは、現在イタリアに住みながらボイスアーティストとして活動していて、イタリア中で4万人が来場する「フェスティバルオリエンテ」などにレギュラー出演しています。日本人がイタリアで「声」の仕事で食べていくってのはとてもすごいことだし至難の業です。日本でも4000人以上のボイストレーニングをしています。ぼくは、あいちゃんがボイスアーティストをやり始めた頃から知っていますが、その時は歌手でもなかったし、声の専門的なことをずっとやってきたわけでもありませんでした。そこで、いきなり「声の専門家」からスタートしたというのはすごいと思いました。
ボイスアーティスト相川陽介(以下、相川) 専門家ではなく、素人でした。声でパフォーマンス、自然と愛の美しさを表現したいということと、技術は関係ないです。気持ちですね。そこからやっていくうちにだんだん専門家と認知されたということです。
あきら 今は日本でも講演活動や、声に関するワークショップをしているけれど、今後は、全部イタリア方面に集中していく感じなのかな?
相川 アーティスト活動の主戦場はイタリアで、イタリアを始め、フランス、イギリス、アメリカ、ドイツなど世界各地にそういうステージがあるので、そういうステージを巡業していくことになります。アーティスト活動はそちらのほうが、むしろ自由にやれて楽しいです。
日本では、この10年、各地で新規開拓をしてきました。そして、イタリアに行ってたった2年で歌手活動の基盤を作ることができました。そういう新規開拓の過程で培ったものは、法人向けにそういうノウハウを講演活動やセミナーで伝えています。法人の新規開拓事業や新入社員さんのモチベーション講演、そういうことで役に立っていると思うのです。
そういう、実際に新規開拓ができるトークや存在感、声、そういう力を得たい社長さんや営業部長などに直接マンツーマンのレッスンの形で、ボイストレーニングを日本では展開していきます。
あきら このメディアの読者は起業家や経営者が読んでいたりするのですが、経営者にとっての声は、どのようなものが大事になってくるの?
相川 前提は真実ですね。真実をしっかり持ったうえでの嘘。芝居も必要です。真実ありきです。
あきら それは、心構えとして真実を伝えるというところと、相手に伝えやすさを選ぶところで、技術として相手が伝わりやすい芝居をしていくということかな?
相川 そういうことです。例えば乳幼児や1歳の子供に、フライドポテトにケチャップを付けて食べさせたらお腹をこわすし、70歳のおじいちゃんにチリソースをたっぷりかけたアメリカンドッグを食べさせても食べないでしょう。人によって受け取りやすい取り方や表現の仕方はありますが、それは芝居です。
あきら 具体的にそういう芝居をしていくのは、どのようにしていけばいいのかな?
相川 僕は、役者の育成所のようなところでも、トレーニングを行っていますが、最初に必ず自分を知るワークをやってもらっています。自分というものが一体何を伝えていて、どんなキャラクターなのかを把握することです。
あきら ちなみにキャラクターを把握していないと、伝わらない?
相川 それはそれで伝わると思います。何も伝わらない人間なんていません。要は、相手に伝わる印象のコントロールだと思います。
あきら 印象が悪くなってしまうと、自分が意図するような人が集まって来なかったりするということ?
相川 多少悪くても、印象に残ってるならいいと思います。いいも悪いも印象に残らないのが日本人の特徴です。日本人の場合、声でも結局、目立つということをしません。世界的に見ると、それでは、まず相手にしてもらえません。気づいてもらえていないんですから。
あきら 印象に残るというのは、なかなか難しいのかなって思ったんだけど、それはどうかな?
相川 印象に残るというのが、1番の勝負だと思います。料理を作ることができても、料理を食べたいという人達が集まってくれなければ、売ることができません。新規開拓してまず告知しないと何も始まりません。顧客満足度やリピート購入などは別の話です。
あきら 『印象に残る』という結果を残すために、読者に対して何かこれだけは押さえておいてというポイントはあるかな。
相川 個人的には、30代でこれから起業する方、もしくはこれから起業する人などには、声のことはともかく、自分の人生の「一貫性」というものを見つめてほしいです。一貫性とは言葉と声と行動の一致だと思います。
あきら ということは、自分が選ぶ人生の一貫性が無いと、声や行動は・・・。
相川 『一貫してない』ということが相手にちゃんと伝わります。商売で儲けるだけという商人の感覚で言えば、国内需要にこたえていれば儲かります。しかし、海外に出るとなると、外国人と喧嘩しなければいけません。基本的に日本人感覚やモラルだけでは何も伝わりませし、はっきり言わければいけません。
あきら 一貫性を養う上で何が大事なんだろう?
相川 それはタフネスだと思います。日本人がというより、2、30代の若者がタフネスと一貫性が足りません。腹をくくる、継続性、そして努力です。こういう地味なものも日本の美徳だっと思います。侍スピリッツです。
あきら 確かにそうだね。今日の格好も和という感じですが、それは侍を意識してたりする?
相川 我々日本男児は皆、武士道精神と言うものの影響下で育っているという面は、多少なりともあると思います。
あきら やはりイタリアで、そういう声を通して日本の文化などを広げようとしていく感じかな?
相川 そうです。
あきら そういう意図が、その格好などにも含まれてる?
相川 そうです。現地に溶け込むことより、現地で浮くことのほうが重要です。まずは目立たないといけませんから。
あきら なるほど。まとめるなら、まずは印象に残ることが、とても大事。そして、印象に残るためには、人生の一貫性やタフネスなど、そういう地道なことを繰り返していくことが必要。そうすることで初めて本当の意味で自分が伝えいたことが「伝わる」ってことだね。
中編につづく
次回は、「イタリアという環境がアーティストとしての感性を高めてくれる!」をお届けします。
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